介護職になるには派遣会社に登録して介護職として働く「介護派遣」という選択肢もあります。他業種ではいわゆる「派遣社員」と呼ばれる働き方です。時給ベースで見ると高待遇と言えますが、一方で不安定な面もどうしてもあります。
今回は介護派遣で働く上で知っておきたい基礎知識を解説。良い面と悪い面、気になる待遇面など、詳しくご説明します。
介護派遣ではどんな風に働けるの?
そもそも介護派遣とはどういった働き方なのでしょうか?正規職員とどんな違いがあるのでしょうか?介護派遣に関する基礎知識を、メリット・デメリット含めて解説していきます。
正社員とは立場的にどう違うのかのおさらい
正規職員は介護事業所と直接雇用契約を結んで、事業所からお給料をもらいながら働きます。一般的な会社で言う「正社員」と同じです。介護派遣は派遣会社が雇用主となり、その会社が契約している介護事業所に派遣されて仕事をします。介護事業所は派遣会社に報酬を支払い、派遣会社が介護派遣にお給料を支払います。
基本的に契約期間が決まっていて、気に入った事業所や派遣先で気が合う同僚と出会えても、そこでずっと働けるという確証はありません。契約期間が終了すれば他の事業所に回される可能性もあります。契約期間中であっても打ち切られるというケースも少なからずあります。
正規職員は基本的にその施設でキャリアアップを目指して、将来施設の運営や経営をする立場になることが期待されているので、昇給や昇格の機会があります。しかし介護派遣は非正規職員であるため、昇給や管理職への昇格は難しいのが実情です。加えて正規職員と比べると教育や研修の機会も少ないため、自主的に勉強する姿勢やポテンシャルが求められます。
働き方は自由で守られやすい派遣
介護派遣は正規職員と比べてどうしても不利な部分がある反面、自由な働き方ができるのがメリットです。基本的にシフト制なので、残業や休日出勤が求められるケースはあまりありません。正規職員と比べてプライベートな時間が確保しやすいです。仮に時間外労働があった場合でも派遣会社との契約もあるので、残業代などがしっかりつく傾向があります。サービス残業やサービス出勤を求められる確率も正規職員と比べて各段に低くなります。
万が一派遣先でトラブルがあったとしても派遣会社が守ってくれるのもメリットです。正規職員だと上司や経営者から厳しく叱責され、一方的に解雇される恐れもありますが、介護派遣であれば派遣会社が間に入って対応してくれます。
また正規職員はパワハラやセクハラなどのハラスメントから逃げにくい傾向があります。事業所を辞めれば生活ができず、再就職先を探さなければいけないので、泣き寝入りする方も少なくありません。介護派遣であれば派遣先を変えてもらうこともできるので、万が一ハラスメントなどに遭っても正規職員と比べると逃げやすい環境にあります。
実際の給料や待遇についてはどんな感じ?
介護派遣という働き方やメリット・デメリットはご理解いただけたかと思います。次に気になるのは待遇のことではないかと思います。お給料はいくらくらいもらえるのか?待遇はいいのか?介護派遣の実態を見ていきましょう。
月給自体は高額だが、それ以外のところが弱くなりがちな派遣形態
公益財団法人介護労働安定センターの平成29年度『介護労働実態調査』によると、正規職員の平均時給は956円という結果が出ています。一方介護派遣の平均時給は1,000~1,500円で、時給で見ると正規職員よりも高水準。短期的に見れば介護派遣のほうが稼げると言えます。
しかし昇給やボーナスは派遣会社によって異なります。特に管理職などへの昇格はまず期待できないと言っても良いでしょう。ボーナスについても出ない派遣会社も少なくありません。福利厚生がない、交通費が出ないというケースもあります。
短期的に稼ぐ、生活のためにつなぎで働く、主婦が空き時間で稼ぐといったケースであれば良いのですが、長期的に見るとどうしても不安定。正規職員のほうが待遇もアップするのでお得であるケースがほとんどです。
自由度が高い反面、致命的なリスクも存在する
介護派遣のメリットは自由に働けるということですが、これにもリスクが伴います。前述のとおり、介護派遣では同じ職場に長期で働くことはできません。契約期間は原則最大3年間であり、それが終了するといくら気に入っている職場、実績を挙げた職場であっても去らなければいけません。
また契約期間中であっても怪我や病気、あるいは派遣会社や派遣先の都合によって派遣切りに遭ってしまうという大きなリスクを孕んでいます。将来の保証がされておらず、来月は給料がもらえないという可能性も0ではありません。
介護派遣には一定期間以上働いたら正規職員に登用される機会があるという「紹介予定派遣」という契約形態もあります。この制度を使えば、待遇が良い正規職員にステップアップできるチャンスもあるのですが、必ず登用されるかといえばそうではありません。実際に介護派遣から正規雇用に登用された人は平成26年度では57%。半数近くの人が紹介予定派遣で契約してもステップアップできていないという現実があります。
介護派遣は自由に働ける反面、雇用が不安定でありリスクも少なくないことは頭に入れておきましょう。
介護派遣そのものの将来とは
そもそも介護派遣は介護事業所にとっては人材不足を補う「調整弁」として機能してきたという側面があります。今後の業界全体の動向によって、介護派遣のあり方も変わってくるでしょう。それにともなって、派遣で働いている、あるいはこれから派遣で働こうとしている介護職の人たちの未来も決まってきます。
最後に介護派遣の将来について考えていきましょう。
現在でも半分以上を非正規に頼る介護業界
少子高齢化の影響で今介護業界は深刻な人手不足が続いています。介護職の半数は介護派遣やアルバイト、パート、契約社員といった非正規職員という立場で働いているというのが現状です。訪問介護員に至っては8割が非正規と言われています。
非正規職員の割合が高いことが、「介護業界=給料が低い」というイメージが広がった原因の一つと言えるでしょう。非正規職員が多いあまり業界全体で低賃金化が起こってしまい、今や正規職員の給料までそれに合わせて下げられている傾向があります。働き方改革の一環で「同一労働同一賃金」ルールが制定されたため、その傾向はますます強くなっていくと考えられます。非正規雇用者の待遇を正規雇用者に合わせてアップする目的があってこうした政策が取られたのですが、現実は正規雇用が非正規に合わせられてしまっているのです。
一方で業界全体が人手不足であり、介護派遣の求人も多いことから、介護業界に入るためのハードル自体は低くなっています。前述のとおり、紹介予定派遣という制度を使えば正規職員になれる可能性も0ではありません。プライベートを重視したい、家庭と両立したいという方は派遣やパート、アルバイトといった働き方を選択するのもありです。
将来的に大きな仕事を目指したい方には向いていない面もある
介護業界は離職率が高いため、人員を補う目的で介護派遣を採用するケースは数多くあります。それに加えて介護の需要は年々高まっているため、介護派遣であっても突然辞めさせられたり、仕事が途切れたりといったリスクは低くなってきました。自分の都合によってシフトを決められる、派遣社員が守ってくれる分働きやすいというメリットも確かにあります。
ただし管理職などのポストに就くことは難しく、施設の運営や経営、マネジメントといった大きな仕事を目指したい方には向いていないと言えます。将来ステップアップを目指したい、良い収入や待遇を得たいということであれば正規職員を選択されることをおすすめします。
また事故や病気といったリスクについては派遣会社がカバーしてくれるわけではありません。当然労災や傷病手当金は同じように降りますが、介護派遣の場合は再び職場に復帰するまでには正規職員よりも確実にハードルが上がってしまうのが現状でもあります。そういったリスクが常に付きまとうということは最低限抑えていただいた方が良いかもしれません。
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