男性介護士のリアル 男性介護士の人数や平均年収・給料を解説

介護士と聞くと女性というイメージが強いかもしれません。しかし近年では男性介護士の比率も高まってきてます。力仕事も多く、長く働き続けられるという意味では、男性介護士の需要も高まってきているといえます。

しかし本当に、男性介護士は増えているのでしょうか。
そこで、男性が介護業界で働くメリットや男性介護士の給料の実態など、本記事では「男性介護士のリアル」を紹介します。

年々増加傾向にある男性介護士

厚生労働省では、介護従事者(介護士)の給与水準の状況を調査した「介護従事者処遇状況等調査結果」というレポートを毎年発表しています。それによると、2017年10月の調査時点では常勤の介護士が全体で1万5,830名に対し女性が1万321名、男性が5,509名でした。
それが2020年4月の調査では介護職員数全体2万2,208名に対し女性が1万4,520名、男性が7,688名となっていました。

3年半の間に介護士全体が6,378名増えていますが、男性介護士は2,179名も増えています。
増加数の1/3は男性となるわけです。

国内における男性介護士数
2017年度 2020年度
5,509人 7,688人

介護士の男女比

公共財団法人 介護労働安定センターが2020年8月に発表した「令和元年度介護労働実態調査結果 事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、介護業界に務める職員全体の男女比は男性が「21.4%」、女性が「78.2%」という結果が発表されていました。

依然として介護職全体に占める女性の割合は高いものとなっています。
しかし、近年の男性介護士の増加や男性介護士のロールモデルが確立されることで、将来は介護職員全体に占める男性比率は高まっていくと予想されています。

男性介護士ならではの強み

男性介護士は、男性ならではの強みを活かした働き方をすることができます。以下に、男性介護士ならでの2つの強みを紹介します。

力仕事ができる

介護サービスの利用者さんの体格は様々です。
体格の良い方もいれば、身長の高い方もいるかもしれません。そこで、利用者さんをベッドから車椅子への移乗介助や車椅子から車へ移乗させる移乗介助、入浴介助などをする際には力がいる場面があります。

その際、女性介護士の場合には2人がかりで介助する必要が生じることもあります。そこで無理をすると介護士と利用者さんの双方が怪我をするなどのリスクが生じる可能性もあります。
しかし力が強い男性であれば、1人でもスムーズな介助が期待できます。

同性に寄り添った介護

介護の現場では、排泄介助、入浴介助などに対して、「異性の介護士に世話をされるのは恥ずかしい」という利用者さんもいます。
そのほかの介助でも身体を密着することがありますので、同性による介護が推奨されており、男性の利用者さんに対しては男性介護士の出番となります。

また、利用者さんの心情は異性だと上手く理解できないこともありますが、男性介護士であれば男性の利用者さんの心情を上手く汲み取って、より心のこもった介護ができるでしょう。

男性介護士の平均年収・給料

厚生労働省が発表した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2020年4月調査)によると、常勤の男性介護士の給料平均月額は33万5,770円であり、年収にすると約403万円となっています。
常勤の介護士全体では31万5,840円、常勤の女性介護士の平均給与額は30万6,130円となっていました。

比較してみると、男性介護士のほうが女性介護士よりも年収で35万円以上高くなっています。
「給料が安い」というイメージがある介護士ですが、男性介護士であれば一般的に抱いているイメージよりも多くの収入を得ることが期待できます。

男性介護士(月給・常勤)の平均給与
2017年度 2020年度
308,330円 335,770円

男性介護士の平均給料は年々増加

厚生労働省による「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、平成29年度(2017年10月調査)から令和2年度(2020年4月調査)までの3年半の間に男性介護士の月額平均給料は3万円近く増加していることが分かります。
男性介護士の給料面から見た待遇については年々改善されてきていると言っていいでしょう。

年代別男性介護士の平均年収

男性介護士の平均年収を見てみると、40代(40~49歳以下)がもっとも高く429万円となっています。
50代(50~59歳以下)になると40代よりも平均年収が若干下がってしまいますが、マネジメント能力を高めて、管理者や施設長を目指すことで、より高い年収を目指すこともできるでしょう。

給料を上げるための5つの方法

給料は年々増加してきているとはいえ、賃金の低さは介護士が常に持つ不満の上位です。
公益財団法人 介護労働安定センターが2019年10月1日~10月31日に調査を行い、2020年8月に発表した『令和元年度「介護労働実態調査」の結果』によると、「労働条件等の悩み、不安、不満等」という設問に対しては「仕事内容のわりに賃金が低い」という答えが2位となっています。

そこで介護士の給料を上げるための5つの方法を紹介していきます。

資格の取得

し介護士として働いているけれども資格を持っていないということでしたら、介護の資格である「介護福祉士」を取得することが給料アップの近道です。
「介護福祉士」以外に、「ソーシャルワーカー(社会福祉士)」「ケアマネージャー(介護支援専門員)」「認知症介護実践者研修」「管理者研修」といった介護に関連する資格も取得することで管理職を目指すことができますし、同時に給料を上げることにも寄与するでしょう。

夜勤日数を増やす

夜勤のある施設で働いているのであれば、積極的に夜勤に入ることで夜勤日数を増やし夜勤手当を付けることができます。夜勤に入れば、施設により異なりますが、一晩で平均2,000円~8,000円の夜勤手当を受け取ることができます。

例えば、月に4、5回夜勤に入ったとすると、それだけで月8,000円程度から最大で月4万円程度の給料アップを実現できるようになります。

役職の就任

介護士として真面目に働き経験を積んでいけば役職に就くことができます。
役職に就けば給料に加算して役職手当が付きます。役職手当は月額で2~3万円程度を見込めます。

介護士として3~5年程度経験を積んだら、施設側からリーダー就任の打診をされます。
そしてリーダーとして経験を積めば主任へ。主任として経験を積んでいけば、施設のマネジメントを行う管理者や施設長を目指せるようになります。

勤続年数を上げる

当然のことながら、同じ施設に長く勤めていき、勤続年数が上がっていけばいくほど給料も上がるようになります。「自分に合わない…」などという理由だけで働く施設を変えてばかりいては給料のアップは見込めなくなります。

他施設に転職する

施設を転々とする転職はおすすめしませんが、より給料が高い施設へと転職するのも給料アップの1つの手段です。
同じ介護施設と言っても、「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「通所介護事業所」など、様々な形態の施設が存在します。

それらは施設ごとに平均給与月額が異なっており、働く施設の形態を変えることも給料アップにつながるでしょう。

転職の際には、転職先が介護職員の給料の向上や労働環境整備などを目的とした制度である「処遇改善加算」や、2019年10月にスタートした「特定処遇改善加算」を算定しているかどうかチェックしましょう。
基本は算定することが義務付けられていますが、なかには算定していない施設も存在します。

まとめ

近年、男性介護士は増えつつありますが、女性から比べるとまだまだ少数派になっています。しかし高齢化がますます進む日本の社会では、男性介護士の需要は高まることはあれ減ることはありません。
男性ならではの介護士の強みもあり、男性介護士という存在は福祉の現場で期待されています。

「給料が安い」というイメージが先行していた介護士の世界も改善が見られています。今後はさらなる収入や待遇面での改善が期待される「介護士」という職業を選択の1つに加えてみてはいかがでしょうか。

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