介護職はブラックってホント?給料が安いのには理由がある!?

よく、介護業界は給料が安いブラックと言われます。でも、そもそもなぜ給料が安いのか?その理由を説明できますか?どんな仕組みで介護職員に給料が支払われているのかご存知ですか?

一般企業とは違うお金の流れ、構造が介護事業所にはあります。それを理解し、他の産業と比べて本当に給料が安いのか、安いのであればその理由を知りましょう。

その上で、介護業界で理想の転職先を見つけるためのポイントを解説します。

介護職の給料の大元になる介護報酬についてのおさらい

そもそも介護職の給料はどこからでているのか

一般企業であればサービスや商品の対価としてお客さまが支払った代金(売上)が会社の収入となり、そこから従業員に対して給料が支払われます。

一方、介護事業者の収入源は「介護報酬」です。介護報酬とは事業者が利用者さまに介護サービスを提供した対価として市町村から支払われる報酬を指します。この介護報酬の原資は私たちが40歳以上になったら加入する介護保険です。

この介護報酬こそが、介護職の給料のもととなるのです。報酬額はサービスごとに決められた単位×単価で支払われます。たとえば、20分以下の訪問介護は166単位、単価が10円相当と決められています。166×10=1,666円が介護報酬として事業者に支払われます。

介護職の給料は利用者負担の1~3割と市町村が渡す7~9割の介護報酬で構成されている

介護報酬についてもう少し詳しく解説しましょう。私たちは40歳になると健康保険に加えて介護保険に加入します。被保険者が介護サービスを利用すると、全報酬の1~3割を介護事業者に支払います。そして、残りの7~9割を市町村が負担するのです。これが介護事業者の収入源、企業で言うところの売上となります。

病院を利用したら3割のみを自己負担で支払う健康保険制度と基本的な考え方は同じです。こうした介護報酬制度があるからこそ、被保険者は少ない自己負担で介護サービスを利用することができるのです。

介護報酬の仕組みや額は運営母体が民間企業であれ、社会福祉法人であれ変わりません。また、サービスの質や介護職員の対応によって変わるものではないのも特徴です。

介護報酬制度の問題点について

誰もが介護サービスを少ない負担で利用できる介護報酬制度。事業者側にも確実に報酬を受け取れる、安定的な収入が得られるというメリットがあります。しかし、介護報酬制度には問題点も存在します。

介護報酬の内容や金額を決めているのは厚生労働省です。国の方針によって収入が左右されてしまうため、経営が難しいという側面があります。国が介護報酬を引き下げると言えばそれまでです。

大手企業が運営している介護事業、業界内でも最大手クラスとされていた事業所が、介護報酬の改定に対応しきれずに撤退したケースもあるくらいです。もちろん、それ以上に煽りを受けるのは中小の社会福祉法人や事業所です。近年、介護報酬の引き下げによって倒産を余儀なくされるケースが増えてきています。

一般企業であれば売上が減っても自助努力で経営を建て直すことは可能ですが、介護業界ではそれが難しいのです。

加えて、介護報酬の不正受給などのトラブルも頻発しています。悪質な事業所が存在するために、介護報酬がなかなか上がらない側面もあるかもしれません。一方で、経営が傾いていたから止む無く不正請求をしてしまった事業者も多いと言われています。

介護報酬制度にはこうした根深い問題もあるのです。

それでもなくてはならない理由や改訂率の見直し

介護報酬制度にはさまざまな問題もあるのですが、だからといって制度がなくなることはありません。その理由は、デメリットよりもメリットのほうが大きいからです。

本来であれば介護サービスは非常に高額となります。繰り返しになりますが、介護保険の被保険者であれば、それを少ない自己負担で受けることができるのです。定年退職をした後、働けなくなってしまった後で収入が減ったとしても安心して老後を過ごすことができます。仮に介護報酬制度がなくなってしまったら、介護を受けたくても受けられない高齢者で溢れかえってしまうでしょう。

国もこの制度の重要性を理解し、常に改善しようと努力しています。今、介護業界では深刻な人手不足に陥っています。それを解消するために、「介護職員等特定処遇改善加算」を導入し、介護職員が働きやすい労働環境づくりに力を入れています。

介護報酬制度は三年に一度見直しがあります。質の高いサービスにはしっかり加算するというように、常にプラスの改善が行われています。

働き手の立場としても、介護報酬制度のことを知って動きを追い、自分たちの将来がどうなるかを考えることが重要です。

給料が”安い”事情はこんなところにも

意外と残業が少ない

介護職というと「残業が多い」「休めない」というイメージがあるかもしれません。でも、実際はそれほど残業が多い職場ではないのです。介護労働安定センターが行なった『平成26年度介護労働実態調査「介護労働の現状について」』によると、介護職の49%、実に半数程度が「残業なし」という結果になりました。週に5時間未満の人が26.8%、5時間以上10時間未満が11%、10時間以上はわずか4.6%です。

きついイメージがある介護職ですが、実態は定時か、1日に1時間未満の残業をするという人が大多数のようです。

全職種平均で月の平均残業時間は15.2時間、現場の介護職は10時間程度、責任者やマネージャーと言った管理職でも12時間程度です。

残業が少なければ自分の時間もしっかりと取れるし、身体を休められるので健康を害するリスクも軽減できるので良いことではありますが、一方で残業代が出ないので給料ダウンにもつながります。

残業が少ない分、他の業種と比較すると給料が低くなってしまう。そういった側面もあるようです。

非正規職員の割合が高い

介護はパートやアルバイトなどの非正規職員の割合が高い業界です。非正規職員は労働時間が短い、責任が伴う業務が少ない、転勤などの命令がない代わりに給料水準も低めです。

厚生労働省が発表している『介護労働の現状』によると、介護職員の実に4割は非正規職員だという報告が記載されています。建設業など他業種の非正規率は1割ほどなので、いかに介護が非正規職員の割合が高いかがよくわかります。

もともとの賃金が安いし、パートやアルバイト職員は家庭の事情などで早期に退職する方も少なくありません。

正規職員はそれなりの給与水準で、一年ごとのに昇給もしていくのですが、非正規職員の割合の高さが、結果として業界全体の賃金平均の値を押し下げているという側面があるのです。

ちなみに、同じく非正規率が高い飲食業や小売業も同じような傾向が見られます。

今後の給料の見通しについて

給料が低いと人が離れていく時代に

確かに、介護業界は他業種と比べて給料が低い傾向があります。その理由として介護報酬の上限が決まっている、残業が少ない、非正規職員の割合が高いなど、さまざまな事柄が挙げられます。

しかし、今は圧倒的な人手不足。加えて終身雇用という考え方も薄れてきたため、転職する人が増えてきました。完全な売り手市場だから、転職先を選ぶことができます。

優秀な人材は給料が高いところにどんどん流出して、待遇が悪い事業者には人が残らない。そんな自然淘汰が介護の転職市場で起きているのです。

情報が少ない、景気が悪い、あるいは終身雇用という考え方が色濃く残っていた一昔前なら、多少給料が低くても人材は確保できていたでしょう。しかし、今はそうではありません。給料が低いとあっという間に人が離れ、もはや施設経営ができないような状況になってきているのです。

とはいえ、まだまだ待遇改善が進んでいない事業者も少なくありません。面接の時に「おかしい」「納得できない」という点があったら、はっきり断るのも重要です。

今後求められるのは資格・経験だけでなくリーダーシップ

給料をアップするなら、高い人事評価を得る必要があります。介護に関連する資格や経験があれば、それだけ評価が高くなって給料が上がる可能性があります。しかし、それだけでは不十分かもしれません。

今、介護業界では特にリーダーシップがとれる人材が不足しています。現場で介護の仕事ができるだけでなく、他の介護職とコミュニケーションがとれて環境を改善できる。ゆくゆくはマネージャーや施設長を任せられる。そんな人材がいないのです。

介護の仕事ができて、リーダーシップがある人は、高い給料を払ってでも雇いたいという事業者は少なくありません。

現状だと、勤続10年ほどで介護福祉士の資格を取得している人材であれば、職場や施設全体の運営を任せられると考えられている傾向があります。この域にまで達すれば、かなりの待遇を受けられるでしょう。「リーダーになりたい」「改善を繰り返して良い施設にしたい」という気概があれば、もっと早い段階での待遇改善も期待できます。

サービスが細分化され、選択肢が増えた今こそまずは信頼できる仲介者を見つけるべき

少子高齢化の影響で、今後ますます介護の需要が拡大し、業界全体が成長していくでしょう。さまざまな施設が生まれ、それに伴って介護職に求められる素質やスキルも変化してきています。

社会全体が変化し、国も事業者もそれに対応しようとしています。もちろん、求職者も時代の流れを適切に読み、それに乗っていかなければいけません。

そうしたなかで本当に信頼できる転職先を探し、求められる条件をクリアするのは容易ではありません。介護の経験とはまた違うスキルが必要となります。

そのためには介護業界に特化した転職エージェントのちからを借りるのも手です。条件に合った事業者を紹介してくれて、試験や面接対策のアドバイスや労働条件の交渉などもしてくれます。

転職先探しはまずエージェント探しから。しっかり話を聞いてくれて、希望を妥協せずに転職先を探してくれるエージェントを見つけましょう。

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それは、新規開設した施設に勤めることです。
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