「介護士のリーダー職って大変?」 特養でフロアリーダーとして活躍した30代男性にインタビュー! 人手不足&国からの援助で、介護職=低所得は昔の話?(給与明細あり)

こんにちは!介護職のリアルで広報担当を務めるアズサです。 この企画では、これまで介護職で働いた方や現職の方を対象に、介護職についてのリアルな声をお届けしています。

今回は元特別養護老人ホームの職員、Nさん(埼玉県・30代前半)にお話を伺いました!

登場人物

インタビュー担当介護職のリアル広報担当 アズサ

インタビュー相手元特別養護老人ホーム勤務 埼玉県 Nさん 30代前半

今回のインタビューでは、特養(特別養護老人ホーム)に5年間勤めた経験をお持ちのNさんに、お話を伺いたいと思います。

特養のリーダー職って、いったいどんな仕事をするのでしょうか?
職員をまとめるのは、けっこう大変なのでは?
そんな点を中心に、詳しくお聞きしてみたいと思います。

Nさん、本日はどうぞよろしくお願いします。

はい。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

それでは早速インタビューを始めますね!
まずは現在のお仕事を教えてください。

この間まで特養に勤めていましたが、実家の仕事を継いだので、いまは個人事業主です。

ありがとうございます。
大学は福祉系の学部を卒業されたそうですが、介護の仕事は以前から興味があったのですか?

ええ、福祉全般に興味がありました。
就職先に特養を選んだのは、特養ならいろいろな介護の経験が積めると思ったからです。
他の施設もいろいろ検討したんですけど、結果的に特養にしました。

なるほど!
特養ならいろいろな介護の経験が積めるんですね。

はい。初めて介護の仕事をするなら、特養はおすすめだと思います。
あと、入居者さんの看取りまで関われるというのも、特養に決めた理由のひとつです。

わかります!
その気持ち。
「入居者さんのお世話をするなら、最期まで関わりたい」とおっしゃる介護士さんって、とても多いですよね。
Nさんはご実家の仕事を継がれたとのことですが、介護の仕事を続けたかったという思いはありますか?

ありますね~。
好きで選んだ道だったので、できればずっと続けたかったです。

でも、実家のことも気になっていたので、仕方ありません。
介護の経験は、自分の親の介護のときに活かそうと思ってます。

そうですか。
人生って、いつどんなご縁でルートが変わるかは、わからないものですよね。では、特養時代のことを詳しく教えていただければと思います。
施設の規模はどのぐらい
でしたか?

入居者さんが150人ほど、スタッフが80人ほどの施設でした。

スタッフの男女比は、男性4、女性6ぐらいの割合で、20代~30代の若いスタッフが多い職場でした。

そこのフロアリーダーをやられていたそうですが?

はい。
従来型の施設なので、フロアごとにスタッフが分かれていて、ワンフロアに入居者さんが40~50人、スタッフが20人ほどいました。
自分はそのうちのワンフロアのリーダーとして働いていました。

20名以上のスタッフを仕切っていたんですね!
すごいですね。

よく「大変じゃないですか?」とか聞かれるんですけど、自分は大変さはほとんど感じませんでしたよ。

え~!
その点が今日のお話のメインなんですけど、実は「大変だ」っていうお話が出るのかと思っていたので、ちょっとビックリです!

そうですか?
いや~、いろいろ思い出してみても、別になかったですね(笑)

きっとうまくやれていたのには、何か秘訣があるはずです!
思い当たるフシはありませんか?

あ~、思い当たるといえば、
スタッフとのコミュニケーションにはかなり気を配っていました。

それです、それ!
きっとコミュニケーションがすごくうまくいっていたんじゃないですか?

ええ。
職員同士のコミュニケーションをいかにとるかというのは、すごく大切だと思っていたので、かなりきめ細かくサポートしていました。

たとえばどんな風に?

スタッフの意見を常に聞くようにしていて、スタッフから「ここはこうした方がいいんじゃないですか?」というような提案を聞いたら、すぐに取り入れたりしてましたね。

スタッフの提案を、すぐに実行に移していたんですか?
それは素晴らしいですね~!
そうすると、スタッフのモチベーションも、さぞ上がったことでしょうね。

そうですね。
皆積極的に仕事をしてくれていました。

あとは、普段から職場でスタッフと仕事と関係ない話をしたりして、一人の人間同士として付き合っていました。

一緒に飲みに行ったりとかもしてましたか?

飲み会ですか?
やってましたよ~!
さすがにフロア全員で飲み会に行くのは、仕事柄無理でしたけど、そのときにいたメンバーでちょくちょく飲みに行ってました。

いいですね~。
私もNさんがいた職場で働きたかったです(笑)

普段から職員同士のコミュニケーションがとれていると、何かあったときにも、皆で協力し合えますからね。

そうなんですか。
やっぱりリーダー職にとって最も大切なことは、職員とコミュニケーションをとることですか?

ええ、絶対にそう思います!
コミュニケーションが一番大事です。

Nさんがそんな風に努力されている職場は、きっと温かい雰囲気に包まれていたことと思いますが、入居者さんも居心地が良かったでしょうね。

そう思います。
入居者さんのご家族から、「このフロアで本当によかったわ」と言っていただくことが、よくありました。

スタッフの方たちは、どんな感じでしたか?

皆で協力し合っているから、精神的にゆとりがあるので、スタッフ一人ひとりがいろいろなことに気付いてくれました。
やっぱり気持ちに余裕があるっていうことは、介護の仕事をしていく上で、すごく大事ですね。

Nさんも介護の現場で働いておられたんですか?

ええ、自分も実際に現場で働いていました。

リーダーの仕事としては、どんな業務がありましたか?

勤怠管理やシフト管理など、スタッフに関する管理全般ですね。
フロアのスタッフ全員のタイムカードを管理して、それを集計する作業も行いました。

勤怠管理って、けっこう面倒じゃないですか?

細かいチェックは必要ですね。
時間外が発生したときには、それが妥当な理由かどうかチェックしました。

逆に時間内で帰ったことになってるのに、実は残業していたみたいなスタッフもいて、それについてもチェックしました。

え~!
残業しているのに、残業代を請求しないなんて、奇特な人もいるものですね。

いや、残業すると手続きがいろいろとあるので、それが面倒だったみたいです(笑)

そういうことだったんですか(笑)。
「スタッフのシフト管理が大変」っていう話もよく聞くのですが、Nさんはシフト管理に関してはいかがでしたか?
夜勤のシフトに入る人がいなくて、困ったとかいう経験
はなかったですか?

それが意外となかったんですよ。
夜勤は手当てが付くので、若いスタッフの中には「お金がもらえるなら、連続で夜勤もOK!」という人もいたりして、夜勤をやりたくない人と二極化してましたね。

若いうちは体力があるから、夜勤もへっちゃらですもんね。

ええ。
ただ、なるべく現場で愚痴が出たりしないように、夜勤のスタッフ同士の相性については配慮しました。

なるほど~!
夜中にスタッフ同士で揉めたら大変ですもんね。
そういうところに目が行き届くNさん、素晴らしいです。
ほかにも、フロアリーダーとしての業務はありましたか?

新しい入居者さんが入られるときは、そのための準備も必要です。
特養の場合、ベッドが空くとすぐに待機していた方が入居されます。

そのときは、どうやってお世話するかを決める会議に、フロアの代表として出席しました。現場の立場から、意見や提案があれば、そのときに伝えていました。

現場で働きながら、リーダーとしていろいろなお仕事をされていたんですね!
そうなると、残業もさぞ多かったのでは?

そんなことはないですよ!
残業は月に15時間程度です。

入居者さんに急変があったときは別ですが、普段はそんなもんですよ。
休日出勤もほとんどありませんでした。

そうなんですか?
それなら無理なく働けますね。
待遇的にはどうでしたか?

給料は、手当や残業代を含めて、額面で28万円ほどです。
それ以外に32万円の賞与が年2回出たので、年収は400万円ほどです。
それ以外に、処遇改善加算として年1回、3万円が支給されました。

そうなんですか。
介護職のお給料としては、けっして悪くなかったのでは?

そうですね。
大企業が経営している特養だったので、母体が大きかったこともあると思います。
国からもらう加算額が多いと、職員のお給料も多くなる傾向にあるようです。

加算額というと?

介護事業というのは国からお金をもらうビジネスなので、施設内で機能訓練ができたり、介護の予防ができたりすると金額が加算されるため、その分スタッフの待遇も良くなるんです。

なるほど~!
そうなると、規模の大きい施設の待遇が良くなる確率は高いですね。
スタッフの教育面ではどうでしたか?

研修制度もしっかりしていました。
新人さんが入職後、ひと通りの研修が終わってフロアに配属された後も、1名の新人さんに1名の職員が付いて、その担当が基本的にすべてを教えるというシステムになっていました。

それは新人さんも安心ですね!
やっぱり大手の介護施設は違うなぁ。

毎月職員向けの研修も行っていて、看護師が口腔ケアのやり方や、褥瘡の予防の仕方などを教えていました。

いいですね~。
研修があるとないとでは、介護士のキャリアを積む上でも大違いですよね。
福利厚生面はどうでしたか?

自由参加の社員旅行がありました。
毎月積み立てをして、参加しない人は積み立て金が戻ってくる仕組みです。
研修を兼ねてカンボジアに行った職員もいます。

社員旅行に行くと、違うフロアのスタッフとも仲良くなれそうですね!

ええ。
介護職は仕事柄、全員で旅行に行くのは無理なんですけど、できる範囲でコミュニケーションをとるのはすごく大事だと思います。

やっぱり、仕事をする上で何より大切なのは、スタッフのコミュニケーションなんですね~!
考えさせられます。

リーダー経験のあるNさんから見て、どんな人が介護職に向いていると思いますか?

またコミュニケーションの話になっちゃいますが(笑)、
やっぱりスタッフや入居者さん、そのご家族とコミュニケーションを取るのが上手な人は、介護士に向いていると思います。

そうなんですね。
他には何かありますか?

あとは、特養の介護士さんの場合、現場を見たときに動じない人が向いてますね。
よく他の施設から来られた人で、身体に管を入れたりするのを見て衝撃を受けてしまう人がいるんですけど、そういう人は特養の介護士には向いていないと思います。

う~ん!
やっぱりデイサービスなどに比べて、特養はそういう点ではハードですよね。
Nさん、最後の質問になりますが、これから介護士として働こうと考えている方々に向けて、ひと言メッセージをお願いします。

介護の仕事に就こうかどうか、迷っている人もいるかもしれませんが、もし迷っているなら、一回やってみたらいいのではないかと思います。

何事もチャレンジすることから始まるっていうことですね!

そうです。
介護の仕事は、たとえ途中で辞めてしまっても、身につけた知識や技術を親の介護などで活かすことができます。

親の介護をするときは、介護に関する法律や制度なども知らなくてはならないので、介護職を経験しておくとすごく楽ですよ!

なるほど~。
確かにそうですね。
Nさん、今回は貴重なお話をたくさんいただき、ありがとうございました!

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