【施設別】介護職の夜勤形態の実態に迫る!夜勤の仕事内容や夜勤専従についても解説

利用者が入居し、生活する老人ホームなどの介護施設では、24時間体制でケアやサポートが必要となります。当然ながら、介護者も夜勤など24時間体制で介護を行わなくてはなりません。
日勤の業務内容については把握していても、夜間はどんな仕事をするのかイメージしづらい部分もあります。「大変そう」と漠然とイメージする方も多いのではないでしょうか。業務内容や勤務体制、手当などの待遇を含めた夜勤のリアルな働き方について解説します。

■介護施設での夜勤形態

入居型施設での夜勤業務において、勤務時間や休憩や仮眠の有無、夜勤手当の詳細、配置人員数の観点から見ていきましょう。
43施設、職員総数4194人を対象に現場の声をまとめた日本医労連(日本医療労働組合連合会)の『2019年介護施設夜勤実態調査結果』と『厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準』の2つのデータを参考にしてご紹介します。

勤務時間

24時間体制でケアやサポートを行う介護施設では、勤務時間にシフト制を採用しています。シフト制には、勤務時間を2つ(夜勤・日勤)に分ける2交代制と3つ(日勤・準夜勤・深夜勤)に分ける3交代制があります。2交代制は1回の夜勤が約16時間、3交代制は約8時間というパターンが導入されています。

2交代制、3交代制の双方を採用する施設や、早番(3交替夜勤の入り時間である午前0時~1時を前倒しする)を組み合わせる変則的な3交代勤務を実施する施設も見られました。

施設における2交代制と3交代制の割合は?

夜勤を取り入れた場合、16時間前後と長時間勤務になるのが一般的です。特に規模の小さいGH(グループホーム)、小多機(小規模多機能型居宅介護施設)、看多機(看護小規模多機能型居宅介護施設)はそのほとんどが2交代制です。
一方で1勤務あたりの負担が少ない3交代制を取り入れているのは、比較的規模の大きい施設であるという特徴が見られます。

人員数

施設名 夜間人員配置要件
特養 利用者数25人以下で介護職員又は看護師1人以上
老健 介護職員又は看護師2人以上
グループホーム(GH) 1ユニット毎に夜勤を行う介護従事者1人以上
小規模多機能施設 利用者数9人以下で夜勤を行う介護従事者1人以上
短期入所併設介護(単独型) 利用者数25人以下で介護職員又は看護師1人以上

※四十以下の介護老人保健施設であって、常時、緊急時の連絡体制を整備しているものにあっては、1人以上

出典:厚生労働省 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準 平成12年2月10日

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0263&dataType=0&pageNo=1

夜勤の際、どのくらいの人数の職員を配置するのかについては厚労省がルールを定めています。これを夜間人員配置要件といい、上記表のようになっています。ただ、利用者数に応じて定められているのは特養(特別養護老人ホーム)と短期入所のみで、老健(介護老人保健施設)ではごく最低限の人員です。

施設の現状や利用者の状態に配慮されていないため、複数回をかけ持ちするなど実質上の1人夜勤と変わらない例も多く見受けられます。小規模なGHや、小多機、看多機での夜勤配置は1人以上(GHは1ユニットに1人以上)と定められています。そのため実質、1人体制を行う場合がほとんどです。

出勤日数

夜勤の出勤日数(回数)について、特にルールは定められていません。そのため、施設ごと、もしくは2交代制か3交代制かなどの条件で異なっています。『2019年介護施設夜勤実態調査結果』の結果から、施設や交代制で異なるケースを以下にご紹介します。
ちなみに看護師の場合、夜勤は3交代制の場合月8日以内という指針(看護師確保指針)があります。これは2交替夜勤では4回以内の計算となりますので、参考にしてください。

【3交代制の例】
特養で最も夜勤回数が多いのは4日、老健では8日となっています。小多機・看多機では1日です。

【2交代制の例】
特養と老健の場合、最も多いのが月4回です。GHは5回、小多機・看多機は4回、短期入所は5回となっています。GHでは夜勤専門の職員の数が多くなる傾向にあり、夜勤者の1割強が夜勤専門の職員であるという結果が出ています。

休憩

就業規則により、休憩・仮眠時間が決められていますが、施設ごとに異なります。また勤務体制が2交代制・3交代制かどうかでも差異があります。休憩・仮眠時間を合計した全施設の平均は2交代制夜勤を採用する施設は2時間14分、3交代制施設では平均1時間02分となっています。

また仮眠を行う仮眠室は有効回答があった128施設のうち4割近くの施設が「ない」という結果に。特養や老健は全体の7割近くの施設に仮眠室があり、小規模な施設(GHや小多機、看多機)に少ない傾向にありました。

【3交代制の例】
特養は平均1時間07分、老健は1時間05分。小多機と短期入所は共に1時間ちょうどという結果です。

【2交代制の例】
特養では1時間46分、老健は2時間34分で、小多機は1時間54分、看多機は2時間40分となっています。短期入所では2時間12分でした。

夜勤手当

深夜の時間帯(22時から5時)に働く場合、通常の労働時間賃金を25%割増した金額を支払うよう、労働基準法で規定されています。具体的な「夜勤手当」として決められているわけではないので、施設ごとや雇用形態によって金額に差異があります。

2交代制を採用する施設の正規職員の夜勤手当平均額は平均6,125円(前回5,747円)となっています。施設ごとの平均を順に見ていくと、中~大規模の施設が多い特養は5,744円、老健は7,152円。
それ以外の比較的小規模な施設はGHが5,186円、小多機が5,780円、看多機は5,923円、短期入所6,004円となっています。

また2交代制夜勤の老健の最高額が15,157円だったのに対し、短期入所施設の最高額は7,957円と大きな差があるのも特徴です。

出典:日本医療労働組合連合会 2019年介護施設夜勤実態調査結果
http://irouren.or.jp/research/84e925aeeec3971658adf67c579961ae4825360d.pdf

■夜勤の仕事内容

実際の夜勤の仕事は、利用者の夕食から就寝までの生活のサポートに加え、就寝後から起床までの状態のチェック(安否確認)が主な業務となっています。具体的には次のような内容です。

夕食のサポート

日勤の担当者からの引き継ぎを受けます。利用者の日中の様子や変化、注意点などを共有します。
その後は夕食のサポート業務です。夕食の準備からスタートし、食事や食後の服薬介助を行います。夕食の後片付けを行い、利用者がリラックスして就寝できるよう、環境を整えます。

就寝介助

寝間着への着替えや歯磨きの他、トイレの介助やオムツ交換行い、就寝の準備をサポートします。
一通り終わった後、ベッドへの移乗を手伝います。就寝後にもトイレの介助が必要となるなど利用者に合わせた個別の対応が求められるケースもあります。

巡視

利用者が寝静まった消灯後、定期的に巡視するのも夜勤の仕事です。巡視は1~2時間程度、居室を回って利用者の状態をチェックし、場合よってはトイレへの誘導やオムツ交換も行います。
他になかなか寝付けない利用者へのフォローや、寝たきりなどで寝返りが難しい利用者の体位交換なども巡視中の業務となります。巡視の合間に事務作業や掃除などの雑務を片付けておきます。

起床介助

朝、利用者が目をさます頃には起床介助に移ります。トイレの介助やオムツ交換、着替えなどをサポートします。朝食の配膳など準備をした後、食事や服薬の介助を行います。
さらに利用者の洗顔や歯磨き、髭剃りなど朝の身だしなみを整えるのを手伝います。朝の業務が終わった後、日勤の担当者に申し送りをするまでが夜勤の担当となります。

■もしもの時のために!緊急時にはどう対応すればいいのか

夜勤で気がかりなのは、介護施設では、利用者の体調が急変することです。場合によっては命にかかわる緊急事態のため、スピーディで冷静な対応が求められます。

医師や看護師への緊急連絡

利用者の体調の変化などの緊急事態には、医師や看護師の判断を仰ぐ必要があります。夜勤に対応する施設では、すぐに医療関係者に連絡できるオンコール体制を導入しているところが少なくありません。
様態の急変などの緊急時には慌てずに、医師や看護師に連絡して指示に従いましょう。緊急時には心肺蘇生が必要になることもありますから、日頃からAEDの場所を確認しておくなどの心構えも大切です。

冷静かつ迅速な対応

利用者の体調の急変に、慌ててしまったり、パニックに陥ったりしてしまうかもれません。しかし、落ち着いて迅速な救急対応を行えば、大事に至らずに済むケースも多々あります。
いざという時に冷静に行動するためには、普段から「いざという時」に備えたシミュレーションしておくことが重要になります。施設が準備した緊急時のマニュアルをよく読み、まずは何をすべきなのか、どのように行動したらいいのかを意識しておきましょう。

■夜勤専従という働き方

夜勤のシフト時間だけ業務に就く夜勤専従という働き方もあります。日勤と比較すると、仕事をする時間が長くなるのが夜勤です。ただ、労働基準法により1日の勤務時間は8時間と決められているため、夜勤は1週間の合計勤務時間は40時間以内にする変形労働時間制が採用されます。
ですから、月の勤務時間は10日前後となり、日勤よりも少なくなる例もあります。比較的少ない勤務時間で、十分な収入が得られるのは夜勤専従者のメリットの1つです。

夜間の勤務は大変ですが、働く時間そのものは固定されています。
一定のリズムで勤務でき、昼間に自由な時間が得られるのは大きな利点です。施設側にとっても、シフトを組むに当たって、夜勤専従者の存在はありがたいものです。基本給などで優遇されることもあるため、働きがいも感じられるでしょう。

一方で、昼夜逆転のリズムに体がついていけず、体調を崩してしまうこともあるでしょう。また友人や家族と過ごす時間がずれ、孤独を感じてしまうかも知れません。
夜勤専従者として働くのであれば、体調管理にはより気を配る必要が出てきます。また夜しか勤務しないため、利用者との意思疎通が図りにくく、変化に気づきにくい点にも注意が必要です。

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